退職の理由
わたしがあの工房を辞める事に決まった日
わたしはあの子に「 今日でここ辞めれると想ったら本当に嬉しい 」って言った
わたしはやっとこの重荷から解放されるのかと想うと
本当に嬉しくて嬉しくて仕方なかった
だって作りたくなかったもん
それに先生がわたしの事をあんな風に想っているなんて知らなかった
「お前は遅刻ばっかりするし無断欠勤はするし仕事のレベルが低すぎる
今年いっぱいだと想っていたけど今日で辞めるか今月いっぱいにするか?」だって
ばかばかしいよ。こんなところで働くのなんて
先生がこんな事を想っていただとは想わなかった
「あ、そう今日で辞めてやるよ、ばいばーい」そんな気持ちだった
さすがに口には出さなかったけど
わたしは何も言い訳せずに「今日で辞めます」ってひと言言った
こうしてわたしの退職はあっさりと決まった
わたしはもう、解放された気分でいっぱいでいっぱいで仕方なかった
太陽の欠片のいない工房なんかわたしにとって何の魅力もない
でもただ、桜の樹とお別れするのだけは嫌だった
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